春雨じゃ、でも濡れたくはない。

「フレディ、とうとう
降ってきちゃったよ。
もうトイレ済ませたんだから
そろそろ引き上げようよ」
「えっ、だっていま
来たばかりじゃないですか。
ボクはこれからたっぷり
ボール遊びしたいです」
「あぁ、待って。
雨雲の動きを確認するから。
・・・やっぱりこれから
雨足が強まるんだって。
このまま広場に行ったら
ずぶ濡れになっちゃうよ」
「かまいません!
ボク、濡れても平気です」
「お父さんは帰るよ」
「どうぞ!ボクはひとりで大丈夫です」
「なに言ってるんだい。ひとりでいたら
保健所に連れて行かれて
飼い主が引き取りに来なければ
取り返しのつかないことになるんだ」
「取り返しのつかないことって?」
「丸焼きにされてお肉屋さんの棚に
並ぶことになる」
「お父さんかわいそう」
「バカを言いなさい!
丸焼きにされるのはフレディのほうだよ」
「そんな・・・、お父さん
迎えに来てくれますよね???」
「お父さんは忘れっぽいからなぁ」
「ん〜、たしかに!」
「おい!フツーそこは
そんなことありませんって
否定するところだろ」
「お父さんってからかい甲斐が
ありますね。ボク、楽しいです」
「お父さんは全然楽しくありません」
「分かりました。今朝のところは
わがままなお父さんの顔を立てて
このまま引き上げることにしましょう」
「ねぇフレディ、顔を立てるなんて言葉、
いったいどこで仕入れてきたんだい?
だいいちお父さんはわがままなんかじゃ
ありませんから!」
「お母さんがよく言ってますよ」
・・・・・えっ?

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