ふたつの気持ち。

太い丸太ん棒みたいな
1本の頑固で強い気持ち
それに張り合うように
やっぱり太くて
丸太ん棒のような
もう1本の頑固で強い気持ち
2本の強い気持ち同士が
せめぎ合いもつれ合い
ばちばち ごんごん
ばちばち ごんごん
太くて丸太ん棒みたいな
気持ちたちはたがいに擦りむけ
深く消耗しても闘いをやめない
その間に桜が蕾をつけ華やかに咲き
新しい西風が吹いて幾万もの花弁が
儚く宙を舞ったというのに
ふたつの丸太ん棒みたいな気持ちは
そういうことに一切気づかず
相も変わらず激しくぶつかり合って
ばちばち ごんごん
ばちばち ごんごん
誰かが遠くの方で素敵な笛を吹いていて
その美しい調べが同じ西風に乗って
運ばれてきたことに気づいたとき
ぼくはやっとふたつの丸太ん棒みたいな
強い気持ちの馬鹿らしさに呆れたのだった
それからふたつの丸太ん棒みたいな気持ちは
闘う心が急速に薄れしなやかな縄に変身し
絡まり合って丈夫な新しい縄を編み出した
そして過去を水に流し仲直りして笑った

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

private

前の記事

旅を夢見て。
diary

次の記事

リフレッシュ。New!!