音の思い出。

子どもの頃よく父が会社から
日めくりカレンダーをもらってきていた。
いつも電話台の横の壁に掛けてあり、
私は朝それを破るのが大好きで
そのためだけに早起きしていた気がする。
子どもながらに一日の始まりを
家族に知らせたがっていたのかもしれない。
破った後そのまま部屋で遊んでいたのか、
また寝床に戻ったのかは覚えていない。
だけど日めくりカレンダーのおかげで
私は早起きするのが好きな少年だった。

そんなふうに育ったせいか
年齢を重ねオヤジになった今でも
早起きするのは嫌いなほうじゃない。
子どもたちがテニスをするようになってからは
トーナメント会場の送り迎えで
朝4時に家を出発することも珍しくなかった。

我が家に犬がやってきてからは
夏場は朝5時、冬場は6時には起き、
支度を整えてフレディと散歩に出る。
小型犬とは思えないほどの牽引力で
引っ張られる様は散歩というより
トレーニングに近いような気がするけれど
おかげで順調に体重が減っている。
その合間によく晴れ渡った空を仰ぎ見たり、
寝ぼけた月や面白いカタチの雲、
美しい花なんかを写真に撮ったりする。
それは季節を感じる貴重な時間。

仕事のない週末の午前中は
ひとりクルマを走らせ海に向かう。
クルマから外に出て走り始める時、
ときどき日めくりカレンダーを
破る音が耳元で聞こえるような気がして
懐かしさを感じることがある。

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