青い朝。
台風が近づいているから
明日は雨かなと思って朝起きたら
気持ちいい青空が広がっていました。
あまりにも気持ちがいいので
朝の散歩は少し足を伸ばして
弘明寺近くの高台まで登ってきました。
頂に立ってしばし開放感を味わう。
眼下には永田の町が広がり
空にはぽっかりとした雲。
こういう景色を見るとやっぱり
山村暮鳥の”雲”が頭に浮かびます。
”おうい雲よ ゆうゆうと
馬鹿にのんきさうぢやないか
どこまでゆくんだ
ずつと磐城平の方までゆくんか”
「いわき・・・どこっすか?それ」
「福島だよ。スパリゾート
ハワイアンズのちょっと北」
「ハワイ ア ン ズ・・・さぁ、
あっしの行先は風まかせなもんで
どこに行くかは風に聞いてくんなさいまし」
「ああ、そうだよね。キミは雲だもんね。
なかなかいいカタチだよ。
空を駆け回る小動物みたい」
「あっしがですか?えへへ。
そんなお褒めいただくような
もんじゃねえっす。ただの雲っすから」
「ただの雲にしちゃあ
ちゃんと会話についてきてるじゃん。
それに人間を見下ろす存在なのに
なかなか謙虚な物言い、気に入ったよ」
「そいつぁどうも。旦那さん、
お連れの小動物はワンチャンっすか?
けっこうプリティっすね。名はなんと?」
「フレディだよ。25日に3歳になったばかり」
「ほぅ。フレディくん、いい名前っすね。
あっしにゃ名前なんてもの、
はなっからないっすから羨ましいっす」
「欲しい?」
「そりゃあね。でもせっかく旦那さんに
付けてもらってもすぐにカタチなんて
変わっちめえやすからもったいないっす」
「でもしばらくはそのカタチでしょ?
ぼくが付けてあげるよ。ダニエル!どう?」
「ダニエル・・・カッコいいっすねぇ。
なんだか海外からやって来た雲みたいっす」
「決まりだね。ダニエル、キミは
カタチを変えながらも人間世界を空の高みから
具(つぶさ)に見てきたから
たいていのことは知ってるでしょ。
これからいろんなことを
フレディに教えてやってくれないか?」
「よござんすとも。
あっしに教えられるものがあるなら
ありったけのことをお教えしましょ。
名前をもらったことですし」
「フレディ、ダニエルに
何か聞きたいことはあるかい?」
「ご主人様、さっきから空を見上げて
何をブツブツひとりでしゃべってるんすか?
カブのママと山村さんがヘンな顔して
ご主人様を避けるように
通り過ぎて行きましたよ」
「フレディ、いまご主人様はだなぁ
あの雲に名前を付けて・・・」
「ご主人様、ボクもうお腹ペコペコ。
早くお家に帰ってなんかいただきたいっす」
「だからぁ、ダニエルにお前が聞きたいことは
ないかって聞いているんだよ」
「お〜いダニエルよ ぐうぐうと
さっきからボクのお腹が
鳴っているぢやないか
お家に帰るいちばんの近道を
そこから教えてくれんか〜」