雲とぼく。

南から東に向かって
 大きな雲が小さな雲を従えて
 のんびりと夕方の空を渡ってゆく
 「どこに向かっているの?」
 ぼくの声が聞こえたのか
 雲はゆっくりとぼくを見た。
 「行き先なんて決められないよ
 すべては風まかせさ」
 「へぇー、気持ち良さそうな旅だね」
 「ああ、きみもくるかい?」
 「行きたいけど人間は空に浮かべないから」
 「それはずいぶんと気の毒だな。
 いつか機会があったらまた会おう」
 「うん。それじゃ」
それから雲は東を向いた。

南から東に向かって
 大きな雲が小さな雲を従えて
 のんびりと夕方の空を渡ってゆく
 「どこに向かっているの?」
 ぼくの声が聞こえたのか
 雲はゆっくりとぼくを見た。
 「行き先なんて決められないよ
 すべては風まかせさ」
 「へぇー、気持ち良さそうな旅だね」
 「ああ、きみもくるかい?」
 「行きたいけど人間は空に浮かべないから」
 「それはずいぶんと気の毒だな。
 いつか機会があったらまた会おう」
 「うん。それじゃ」
それから雲は東を向いた。