雨の日の冒険心。
「雨続きでちびっ子が
ぜんぜん遊びに来てくれないなぁ。
あっ、そこの傘さしたおじさん、
写真なんか撮ってないでぼくと遊んでよ」
「やだよ。お尻濡れちゃうもん」
「手で水を払えば大丈夫だよ」
「だっておじさん70キロ以上あるよ。
きみの足、バネだろ?おじさんが乗ったら
ビヨーンってしなって落っこっちゃうよ」
「そんなに揺らさなければいいじゃない」
「傘をさしたいいオヤジがキミに
またがってじっとしていたらブキミじゃん」
「チェッ、ケチだな、おじさん。
ボクがこれほど頼んでもダメなの?」
「仕方ないな。じゃ、ちょっとだけだよ」
「ねえ、おじさん、足、ペダルに乗せて」
「ダメダメ!そんなことしたら
後ろにそっくり返っちゃうよ」
「おじさん、見かけによらず
意気地なしなんだね。冒険、嫌いでしょ」
「バカを言うもんじゃない。
こう見えてもおじさんは冒険心の
かたまりを磨きながら生きているんだ。
オトコたる者はいくつになっても
困難に立ち向かっていくもんだよ」
「じゃ、両足を・・・そうそう!
どうやら冒険心が目覚めてきたみたいだね」
「なんのこれしき」
「ボク、おじさんの冒険心を
もっと見てみたいよ。少し揺すってみて?」
「・・・どうだい?おじさんの冒険心、
立派だろ?なんだか楽しくなってきたよ。
もう少し大きく揺すっても大丈夫そうだな」
ギーコ、ギーコ、ギーコ、ギッコ、ギッコ、
ギッ、ギッ、ギッ、・・・ぅわ〜〜!!