身体の内側に刻まれる旋律。

心が怪我している時に聴く曲って
 ずっと繰り返し聴いてしまうクセがある。
 何度も聴いているうちに
 もしかしたらその中に回復するための
 ヒントみたいなものが転がって
 いるんじゃないかと思うからだろうか。
 たいていはそんなものは見つけられない。
 たけど見つけられそうな気がして
 もう一度もう一度って聴いてしまう。
ほかの人はどうだかわからないけど、
 ぼくの場合は心が怪我している時は
 V字回復なんてありえない。
 こんなふうに繰り返し聴くという行為は
 いったん心を落ち着かせるということを
 思い出させてくれるのかも知れない。
 励ましとか応援なんかじゃなく
 心の傷口に巻いてもらう包帯のような曲。
 そういう曲はぼくが知らないだけで
 きっと星の数ほどあるんだろうなぁ。
ずっと後になってからのことだけど、
 ただそのメロディが流れてきただけで
 当時のことが急に思い出されてしまって
 思わず涙腺が緩みそうになる。
 そんな時って、たぶんだけど
 動揺しながらも心が安心しているんだよ。
 もう大丈夫になったんだって。


