細く美しい光。

雲間から未明の空に新しい月
 目が覚めてしまったから
 外に出てしばらく眺めていた
 墨色の濃淡で描かれた空が
 次第に色を取り戻してゆく
 その空の中を一羽の鳩が横切った
 なにか大切な知らせを仲間に
 伝える使者みたいな飛び方で
眠いのだけれど眠れない
 刻々と移り変わる空を見上げながら
 ぼんやりとひとつのことを思う
 久しぶりに雨じゃない朝
 新しい月は橙から白に変わり
 ゆっくりと空を渡っていく
 もうそろそろみんな起きる時間
 どこからかゼンマイを巻く音が
 聞こえてきそう
 今日が始まる 今日が始まるよ


