秋空に溶かすもの。

頑張っても大人の入道雲には
 なれない子どものままの入道雲と
 大人の羊雲になるための
 練習を入念に繰り返す子どもの羊雲
 季節が移ろえば景色も変わる
 社会も人も気持ちも同じ
 変わらないものなどなにもない
 不変を追い求めるのではなく
 変化を受け入れ順応し続ける道をゆく
 名残惜しくても後ろ髪を引かれても
 新しい期待と新しい喜びの川の中を
 泳いでいく気持ちに変わりはない
とは書いてみたものの
 心のどこかで変わることを恐れている
 いつまでも変わらないでと願ってる
 変わって欲しくないことは
 変わらないと心の中で信じてしまう
 すべてが変わることを前提にしていたら
 何も信じられなくなってしまうから
いつかは変化を受け入れられるだろうか
 残しておきたい記憶がこの空のように
 やがては形を変え消えてゆくことを思った
 雲は風の中にあり私も風の中
 風は残酷な悪魔であり癒しの神でもある
※お墓参りを済ませ坂の途中で見上げた空は
 とても静かに休むことなくゆっくりと
 風に従って東南東への旅を続けていた


