特別な手紙。

ラブレターはたったひとりの
人のために書かれた文章だ。
自分の心を裸にして素直な気持ちを
相手に伝えるために書かれた
本当に特別な文章だと思う。
手書きの文字には個性が表れるし
文字に気持ちが入っているから
文字以外の何かまで伝わりそうだ。
でも私は今までにそんな特別な
文章というものを書いたことがない。
もちろん誰かを好きになったことが
ないわけじゃないから
書く機会は何度かあったはずだ。
なのにそうしなかったのは、
恥ずかしかったからでも
面倒くさかったからでもない。
たぶん誰かを好きになることが
直接ラブレターを書くということに
結びつかなかったからなのだと思う。
だけどこのまま一度も書かずに
年取ってしまうのはもったいない気もするし、
かなり寂しい気もする。
私はラブレターの世代だったけど
それを書くことはなかった。
今の人たちはラブレターというものを
はたして書くのだろうか。
便箋や万年筆を買ったり使ったり、
書いては丸めて書いては丸めたり、
切手を選んだりポストの前で迷ったり。

SNSは新しいラブレターのカタチ。
誤字は激減するし辞書も必要ない。
字の汚さがバレずに済むし
消去すれば愛のカタチは残らない。
とてもスマートだと思う。
だけど私はあまり馴染めない。
見て欲しい部分を見せられないような、
見たい部分が見えないような気がするからだ。
私は字がきれいなわけでははいし、
上手に書く自信もない。
でも丁寧に書くことならできる気がする。

そんなことを考えているうちに
本気でラブレターに挑戦してみたくなってきた。
手始めにポジティブシンキングな
もうひとりの私に書いてみるという手がある。
明暗だと思わないか?
「お前さん、メイアンは名案て書くって
寺子屋で習わなかったのかねぇ。
そういう意味じゃ見てみたいよ、
お前さんが書くラブレターってものをさ」

「・・・あっ!」

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