水飲み場の出来事。カラスと会話しました。
何度も書き直し
何度も読み直しても
しっくりこない
少し時間をおいて
もう一度読み返してみても
なんかやっぱりヘン

すごく単純なことを
書こうとしているだけなのに
いい表現が見つからない
もっとぴったりな
言葉があるはずだって
思うから探し続けてしまう
時間ばかりがいたずらに過ぎていく
気持ち悪いなぁ
堂々巡り 島巡り
もうあきらめて寝ちゃえ
手元灯を消して瞼を閉じる
・・・・・あっ!
・・・・・やっぱりダメ
こんなことってある?
いつの間にかぼくは悩み疲れて
眠りの世界に落ちていたみたい。
サッカースタジアムのピッチの
ど真ん中で洗濯物を干す夢を見た。
数えきれないほどの物干し竿が
ピッチに並べられている。
ぼくは観客席から投げ込まれるシーツを
片っ端から干していく、そんな夢だ。
ミラノのサンシーロスタジアムが
頭の隅に残っていたからかもしれない。
暗示も示唆も啓示もないどーでもいい夢。
朝6時きっかりにスマホのアラームが鳴り
ぼくは現実の世界へ連れ戻された。
魑魅魍魎が蠢き跋扈する混沌の世界
そこは出口のない迷走の森・・・
悶々とするなか散歩の支度を済ませ
フレディと寒空の下に出て道をゆく。
丘に登りいつものボール遊びが終わって
草や泥に汚れたボールを洗いに水飲み場へ。
そこにカラスが一羽水飲み台の上にいた。
近づいたら逃げるかと思ったけど逃げない。
いつもここでフレディにおやつを
あげることにしているので
フレディはカラスの存在なんて
おかまいなしにぼくの鞄をガン見している。
至近距離で見るカラスはきれいな
紫がかった黒い色をしていた。
ぼくはボールを洗いながら質問をしてみる。
「人間は怖くないのかい?」
「・・・・・」
当たり前だ、カラスが喋るわけがない。
カラスもぼくをガン見している。
間がもてなくなってもう一度質問をする。
「名前があるなら教えてくれる?」
「タマプラーザ」
「えっ?」
ウソだろ?カラスが喋ったよ!
ぼくはびっくりしながらも確認する。
「それってキミの出身地でしょ?」
「チガウ ナマエ オマエハ?」
「ああ、ぼくはフレディのパパ。
キミは言葉がわかるんだね、タマプラーザ。
お近づきの印にこれをあげよう」
大きめの煮干しを水飲み台に乗せてあげると
野生にしては緩慢な動きで嘴に咥えた。
フレディも自分にもよこせと吠える。
しゃがんで煮干しをあげて立ち上がると
タマプラーザはあげた煮干しを咥えたまま
野球グラウンドのフェンスの向こうへ消えた。
ぼくはキツネにつままれたような気持ちで
フレディと一緒に水飲み場を離れる。
カラスって喋るものなのかな。
しかもカ行じゃない言葉をあんなに普通に。
またタマプラーザに会えるだろうか。
すごく不思議な時間だった。
一夜明けカラスと会話して家に戻った今も
ぼくは書きたいことがうまく書けないでいる。
それよりもまずタマプラーザのことを
書いておこうと思った。
もしまた会えたら声をかけてみよう。
なにかヒントをくれるかもしてない。
※写真はタマプラーザが去った後の
野球グラウンドのフェンスの方角に
スマホを向けて撮った一枚。
今度会えたらタマプラーザの写真を
撮らせてもらうつもり。

