春の色。
昨日より陽の当たっている時間が
 少し増えた気がしない?
 先週に比べて2度くらい気温が
 上がった感じもするわね
 ほら 南寄りの暖かい風が
 吹き始めたみたいだよ
外で生きる植物たちは待ちに待った春の足音を
 耳を澄ませて聞いているみたい
さあ、そろそろじゃない?
 うん、そろそろみたいね。
 ぼくもそんなふうに思っていた。
 わたし、もう待てないわ。
 やっとぼくらの季節が来たんだね。
 じゃあ、いっせーのせで
 地面から顔を出そうか。
 それがいいよ、そうしよう。
そんな植物たちの賑やかな声が
 地面の中から聞こえてきそうな日。
 ふと草原の足元に目をやると
 可愛らしいカタチに草が芽吹いていた。
 それはまるでまだ若く細い桜の樹の根元に
 春が訪れたように見えた。



