明け方みた夢-その2
東京ドームにエルビス・プレスリーの
コンサートを観に行く夢を見た。
どの曲を演奏したのかは覚えていない。
その余韻に浸りながら
出口でばったりケイコと遭遇する。
「えっ?なんだ、来てたんだ」
「カタギリくんこそ!びっくりしたわ」
「このあと時間ある?
どっかでご飯食べて帰らない?」
「うん、いいわね」
その後どういうわけか
ふたりは突然京橋にいる。
美味しそうな洋食店を見つけ
ドアを開けて席に着いたら
スタッフがいきなりこう説明した。
「ご注文いただく前に当店の株券を
買っていただかなければなりません」
「株券?食券の間違いじゃないの?」
「間違いではありません」
「どうしてご飯を食べに来ただけなのに
そんなもの買わなくてはダメなの?」
気分を害したケイコは怒って店を出てしまう。
私も慌てて店を出てケイコの後を追う。
ケイコは早足でスタスタ歩く。
「なにあの店!さぁ歩きましょ」
「歩くってどこまで?」
「横浜までよ。あんな店で食べるなんてゴメンよ。
横浜でご飯食べたほうがよっぽど楽しい」
「バカを言うなよ。ここ銀座だぜ」
「なによそのくらい!オトコのくせに歩けないの?」
しばらく歩いていると博品館の前あたりで
ケイコは電池切れ。もう歩けないと言う。
仕方なしにタクシーをつかまえて
横浜まで戻ることにした。
車内ではプレスリーの監獄ロックが
結構なボリュームでかかっている。
ケイコは安心したのか眠ってしまった。
タクシーは不思議なことに新橋で
ハンドルを急に切っていきなり
歩行者用の歩道橋の階段を登り始めた。
登り切るとそこは駅の改札口になっていて
運転手が切符を買いそのまま線路を走る。
私は前から電車が走ってきたら
どうするんだろうとパニックになる。
そんな私の不安な思いを察したのか
運転手は「大丈夫ですよ。この時間、
もう電車は走っていませんし、
首都高を走るより速いですから」と笑う。
窓の外からライトアップされた
夜の東京湾が見える。
「おいケイコ、起きろよ。
信じられない光景だぞ」
ケイコは深く眠っているみたいで
まったく反応なし。
景色に見惚れているうちに
でっかい観覧車が見えてきた。
みなとみらいのコスモワールドだと思う。
二人はそこでタクシーを降りる。
チケット売り場の建物に入ると
奥が重慶飯店になっていて
二人はそこで食事をすることに。
私は料理が運ばれてきてもかまわず
タクシーの中で起こったことをケイコに
一所懸命に説明するのだけれど
ケイコはひたすら食べることに夢中になっていて
私の話に相槌を打ちながらもまったく聞いていない。
そこで目覚ましが鳴って朝を迎えた。