新しい服のチカラ。

夏のバーゲンで久しぶりに服を買って
 弾むような気持ちになっていたけど、
 よく考えたらほとんど出かけないし、
 仕事仲間や親しい友だちにも会わない。
 出かける先はせいぜいスーパーくらい。
 スーパーに行くのにわざわざ
 新しい服なんか着たくない。
 新しい服はお出かけ用のものなのだ。
 「その服、とってもイカしているわよ」
 そう言ってもらいたくて買ったのに
 そんな機会はまだまだずっと先になりそう。
 だけどもう一度よくよく考えてみたら
 せっかく買った夏服も
 夏を過ぎたら着れないじゃん。
 着ていくところもないのに
 ぼくはなんで服なんか買ったのだろう。
 仕方なく昨日の夕方
 新しい夏服に袖を通して出かけたよ、
 スーパーマーケットにさ。
 新しい夏服ってTシャツなんだけどね。
 だけどさすが新しい服だね。
 長ネギを吟味しているときの所作や
 特売コーナーに向かう自分の足取りが
 やたら明るく軽やかになるもの。
 だけどだ〜れも気づかないだろうなあ。
 新しい服なんだぜ。
 “とってもいい感じの服だね“とかなんとか
 言ってみてくれないか、ドラえもん。


