怖い夢。
真夜中、私の部屋のドアノブを
誰かが触って開けようとしている。
カシャ、カシャ、カシャ・・・
その音はそれほど大きくはない。
セキセイインコが巣箱を齧るくらいの音。
その音に目が覚めた私は恐怖を感じ
呼吸が乱れ動悸も激しくなる。
「だれ?」
そう声を張り上げようとしても
口がこわばってうまく言葉にできない。
それでもあきらめずに何度も何度も
声を張り上げようと試みる。
強盗とかだったらどうしよう。
私は意を決して起き上がり、
忍び足でドアに向かいながら
その音に耳をそばだてる。
何か武器になるようなものはないか。
周囲を見回してもそれに代わるものはない。
腰を低くして身構える。
手はじっとりと汗ばんでいる。
ドアノブに手を伸ばそうとしたら
ピタリと音が止んだ。
だけどドアの向こうに誰か立っている。
人の気配を感じるのだ。
私はもう一度震える唇で聞いてみる。
「だれ?」・・・応答は、ない。
じっとドアノブを見つめる。
すると外側からゆっくりドアノブが回った。
私は後ずさる。
ドアが30センチほど開いて止まる。
姿はまだ見えない。
それと同時に廊下の冷気がなだれ込んだ。
その冷気の中に聞き覚えのない声が混ざる。
「後ろをごらん」急に聞こえた。
男の声とも女の声ともわからない声。
私が振り返ると信じられないことに
もうひとりの私がベッドに寝ている。
私はここにいるというのに。
“いったいこれは何?何が起こってる?”
恐怖で頭が混乱していると
カシャ!背後でドアが閉まる音がした。
誰かが部屋に入ってきたのだ。
その音に背筋が凍り付き私はそのまま
気を失ってしまったのだと思う。
目が覚めたら私はベッドの中にいた。
心臓がドキドキしている。
スマホで時間を見る。4時27分。
いったいこれは夢だったのか。
もしかしたらフィリピンから
リモートで指示を出していたあの強盗事件が
頭のどこかにあったのかも知れない。
こんな怖い夢を見るなんて
私はどうかしている。
よくできたサスペンス映画なんか
観るよりよっぽど怖い。
夢の中の出来事。
でもそれは実体験に等しく感じる。
今日がいい天気でよかった。
朝が来て私は救われた気がする。
※私は子供の頃、よく怖い夢を見ました。
だけど大人になったらそんな夢は
見ないものと思っていたのです。
でもそれは違いました。
それとも私だけが進歩していないのかな。
こうやってブログを書いていると
あの時の恐怖が蘇ってくるようです。
今夜はフライパンを横に置いて
寝ようと思います。