忘れてしまわないように。

言ったほうは忘れている。
 でも言われたほうは覚えている。
 借りたほうは忘れている。
 でも貸したほうは覚えている。
 もらったほうは忘れている。
 でも上げたほうは覚えている。
 心配をかけたほうは忘れている。
 でも心配したほうは覚えている。
 勝ったほうは忘れている。
 だけど負けたほうは覚えているものだ。
 自分の言葉で相手を傷つけなかったか。
 借りたものを返し忘れていないか。
 感謝の気持ちが相手に届いているか。
 親身になってくれる友を大切にしているか。
 どこかに奢りが出ていないか。
 人間はときどき自分の日頃の行いを
 顧みてみることって必要なことに違いない。
 忘れていた過去の後悔や感謝を思い出して
 “ごめんなさい”や”ありがとう”を
 時が経っても言える人間でありたい。
 あの時の相手の気持ちは
 今も生きているのだから。
「あなた、私のことでなにか思い出した?」
 「えっ?オレ、キミになにか借りていたっけ?」
 「12年前の熱帯夜の鶴見駅でっていえば?」
 「あぁ、ばったり会ったよね?」
 「それで一緒にご飯を食べようって
 ことになったわよね?覚えてる?」
 「うん、よく覚えてるよ。あの時はたしか
 鉄板焼き屋さんに入ってアグー豚の
 ステーキを食べた!あれ、美味かったよね」
 「そうね。それであの時のお会計は?」
 「お会計?・・・あっ!」
 「私、いまお腹がとっても空いてるの。
 牛一頭食べれるくらいよ」
 「う、う、牛一頭・・・やべ〜」
※公園に百日紅の花が咲いていました。
 近づいて仰ぎ見るとものすごく美しい紫。
 その樹の下のベンチでフレディとひと休み。


