心が溶ける時間。
なにかを考えているというわけでもなく
空の表情が移り変わってゆくのを
ただぼんやり眺めている時間って
たまには必要なんじゃないかって思う。
でもそれは必要性を強く感じたから
眺めていたわけではなく
なんとなく眺めているうちに自然と
こうした時間がとてもすんなりと
心地よく思えたのだった。
気持ちが透明になっていくような清涼感、
足りないものが補填されていくような充足感、
閉じていたものが開いていく開放感、
そういったものが私から無駄な力を
剥ぎ取ってくれる時間だったような気もする。
昼過ぎに昇り始めた半分より少し太った月が
桃色に染まった雲の彼方に映え出した。
その月を祝福するかのように
空全体がやさしい色に満ちてゆく。
丘の上に吹く黒南風(くろはえ)が
木々の間をすり抜けて私を洗う。
美しい景色が目の前に広がる日曜の夕刻、
このまま風を感じながらここにいたい。
言葉はいらないね、フレディ。