壊し屋ジョージ。

「オイラのことを乱暴な町の壊し屋だなんて
 思ってもらっちゃ困るぜ。
 そりゃあ見てくれはごっついし、
 仕事している時は暴力的にうるせぇし、
 生傷だってあっちこっちにあらぁな。
 時にゃ泥だらけになることだって
 雨にずぶ濡れになることだってあるしよ。
 だけどオイラにとっちゃそれらはみ〜んな
 かけがえのない勲章だって思ってる。
 オイラのことをありがたく思ってくれる
 誰かのために生きているって
 サイコーに気分がいいぜ。
 えっ、どのくらいパワーがあるのか
見てぇって?
 バカ言っちゃいけねえよ。
 オイラのパワーは見せ物じゃねぇぜ、まったく。
 だいいちお前たち人間が100人束になって
 かかってきたってオラァ負けやしねぇよ。
 掴む、引きちぎる、持ち上げるなんざ朝飯前、
 オイラに壊せねぇものなんて
 この世に存在しねえってなくらいのもんよ。
 おっと、家は壊せても家族の愛ってやつだけは
 さすがのオイラだって壊せぇねえや。アッハッハ!
 おめぇは冗談は好きか?そうでもねぇか。
 まあいいや。ところでおめぇは今散歩の途中か?
 そのちっちぇえ生き物はなんだ?
 『ウウ〜ッ、ワン!ワン!』
 おぅ、威勢がいいじゃねぇか。
 ここでションベン垂れたらお仕置きだぜ。
 さあさ、こんなところで油なんか売ってねぇで
 さっさと家に帰(けえ)って朝飯でも食え。
 オイラももうじき働く時間がやってくるしよ。
 えっ、オイラの名前?
名前なんか聞いてどうすんだ?
 もっともオイラにゃそんなもんねえからなぁ。
 どうしてもって言うんなら壊し屋ジョージとでも呼んでくれ」
「ありがとう、壊し屋ジョージ。
 ぼくも誰かのためになるような
 生き方ができるよう努力してみるよ」
 「ワン!」
※近寄ってみると本当に迫力満点でした。


