吐息が聞こえる。
私が子供時代から馴染みのある街、伊勢佐木町。
大人になってからは東京に移り住み、
20年弱という長い東京暮らしを経て
私は再び生まれ故郷である横浜に戻った。
私が横浜を離れている間、
たまに港南区の実家に顔を出してはいたけれど、
伊勢佐木町を訪れることはほとんどなかった。
今年に入ってからたまたま探していた本が
有隣堂にあることを知り、
運動がてら南区の自宅から歩いて買いに行った。
片道約45分のウォーキングはとても気持ちのいいものだった。
私の出身校である南太田小学校、蒔田公園を通り、
山王橋を渡れば、もうそこはイセザキモールの入り口。
とても懐かしい思い出がたくさん詰まった街だ。
先日も本を買いに有隣堂まで出かけたのだけれど、
伊勢佐木町4丁目辺りに差しかかった時、
ググッとくる看板を目にして写真を撮ってしまった。
その近くには青江三奈によって歌われた
”伊勢佐木町ブルース”が伊勢佐木町の名を
全国に広めてくれたことに謝意を示す歌碑があり、
台座のスイッチを押せば伊勢佐木町ブルースが
1分間演奏される。
この曲が世に出た時、私は小学5年生。
あの色っぽく悩ましい吐息は
私に大人の世界を垣間見させてくれた。
その翌年、私は自分が所属する少年野球チームの
ヤングシャドーズが横浜市の大会で優勝し
伊勢佐木町商店街をチームメイトとともに
有頂天でパレードしたことを思い出した。