一瞬の中にあるもの。

進化という言葉も
退化という言葉も
単に時流の中で
変化を評価した言葉に
過ぎないのではないか
記憶 時間 関係性 風景
心情 世情 知識 興味・・・
この世のものはなにもかもが
絶えず変化している
カタチをなくしたものや
目に見えないものさえも
例外ではない

進化したと思っていたことが
退化してしまったように感じたり
退化したものがいつの間にか
進化に転じているように見えたり
変化の評価は揺らぎの中にあり
実に模糊としている
変化を感じることは生きること

意図的にあるいは恣意的に
変化を取り入れることはできる
でもそれらは絶えず動いていて
どれだけ望んでも
いつかはカタチを変え
私の身体をすり抜けてゆく
私は変化の海の波に漂い
喜びを感じたり悲しみに暮れたり
失望したり希望を見出したり
勇気が湧いたり敵意を抱いたり
そして混沌とし変化するものに
評価を与えようとしている
評価は風に攫われていくというのに

ある意味・・・
変化は永遠の極対にある
あらゆるものが変化しているならば
永遠は存在しないのか
ショーペンハウアーは言った
”永遠は一瞬の中にある”と
人が恋に落ちるのは一瞬らしい
その一瞬を思い浮かべると
確かにそこには永遠がありそうだ
魂の凍結と欲望の沸騰
それに静寂の安らぎ
そこには進化も退化も存在しない
一瞬の中にこそ永遠があり
それらはみな連続しているはずだ

朝の小川のせせらぎを聞いた
生まれ出る前の無垢な命の音のよう
意識は漂うことで魂と出会い
出会う喜びの輪のなかで
自ら光り輝き踊る楽しさを知る
進化を目指すこともなく
退化を感じることもなく
私はただひたすら変化に身を委ね
一瞬の世界で出会い求め合うのだ
永遠のカタチは残像を産まない
変化することで永遠を得るのだ

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そんなことをなんとなく考えながら
しばらくクルマを走らせていた。

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