とんでもねぇ奴ら!
♪ ピンポ〜ン!
「はい」
「ちょっといいかしら?」
「あー、すみません、
いまちょうど髪染めてるところで
出られないんです。どなた?」
「女神よ」
「えっ?」
「め・が・み!」
「どちらのめがみさん?」
「いいから玄関開けて!」
「だからいま髪染めてる最中なの。
それに仮にきみが本当の女神で
ぼくに会おうと思ったら
ふつーインターホンなんか使う?
いきなり目の前に現れ・・・」
すーっ
「・・・たーっ!!」
「これなら信じていただけるかしら?」
「い、い、いったいどうやって」
「時空を超えただけ。簡単なことよ」
「ぼっ,ぼっ、ぼくになんの用?」
「あなた、幸せになりたいと思わない?」
「そ、そりゃあいつも思ってる」
「ならあたしに会えたことに感謝しなさい」
「きみ、本当に女神なの?ぼくには
雪女にしか見えないんだけど」
「失礼ねぇ、神を見た目で判断しちゃダメ!
ほら、女神手帳。これなら信じる?」
「それ、コクヨのキャンパスダイアリー
Bizシリーズじゃん。ぼくのと色違い」
「まあ!あなたも神なの?」
「そういうことじゃなくてさぁ。
ヘックション!なんなのこの寒さ」
「上半身裸でいるからよ。何か着たら?」
「着たら服が染まっちゃうよ。
きみが寒くしてるんじゃない」
「まあ!そんなこと言っちゃって。
あたしに抱きしめて欲しいの?」
「お断り!きみにそんなことされたら
瞬間冷凍人間になっちゃいそうだもん」
「きみだなんてそんな冷たい呼び方よして。
女神にだってちゃんと名前があるんだから」
「なんて名前なの?」
「みんなわたしのこと雪んこユウちゃんって
呼んでるわ。あなたもそう呼んでいいわよ」
「雪んこユウちゃん?ヘックション!
ほらね、ついに尻尾を出した!
やっぱりぼくが思ってたとおり雪女じゃない」
「しょうがない、白状するわ。ええ、
あなたの言うとおり、あたしは雪女よ。
どぉ、びっくりした?」
「もうびっくりし終わった・・・
あー、いやいや、まだびっくり中。
ぼく、不幸じゃないし風邪引きたくないから
お引き取り願えるかな。これからシャワーだし」
「ずいぶん冷たいのね」
「雪んこユウちゃんほどじゃないよ」
「まあ、鼻水が氷柱になっちゃって。かわいい!
・・・どうやらあなた、あたしのことが
あんまり好きじゃないのね」
「あー、いや、好きとか嫌いとかじゃなくて
寒いのってチョー苦手なんだ。
それにそろそろシャンプーしないと
染まり過ぎちゃうからさ。ね?」
「お湯、出ないわよ」
「えっ?」
「水道管、凍結する頃よ。
まもなく破裂するわ」
「えっ、えっ、そんな〜。困るよ〜!
直してよ〜、ひどいじゃない!
あれ?雪んこユウちゃん、どこ?」
「・・・・・・・・」
「消えちゃったよ、マジか・・・」
♪ ピンポ〜ン!
「やい、雪女!早く水道の凍結
なんとかしろ〜〜!」
「はっ?」
「えっ、あなた雪んこユウちゃんでしょ?」
「いいえ、私どもは水道屋でござい」
※寒すぎたのか、肥料が合わなかったのか、
大事に育てたカリフラワーが
とうとう大きくなりませんでした(涙)。
たぶん雪んこユウちゃんのせいです。
それでも塩茹でして食べたら
ちゃんとカリフラワーでした。