それは本のせい。

バス停に立っている
待っているのは私ひとりじゃない
10人くらいいたと思う
だけど私を除いて
みんなは知り合いらしく
なかなか来ないバスのことなんて
気にするふうでもなく
楽しそうに何か喋り合っている

やがてバスが到着・・・と思ったら
バスはスピードを緩めることなく
そのまま通り過ぎて行ってしてしまった
なんで?ずっと待っていたのに
どうして停まらない?
ふと周りを見ると誰もいなくなってる
どういうこと?
私は急激に恐怖に近い寂しさを感じた

みんなはどこへ行った?
なぜバスは停まらなかった?
しばらくして私は分かった
あの人たちはみんなバスに乗ったのだと

激しい孤独 乱れる呼吸
悲しみを連れてくる嫌な夢
目が覚めてからもかなり長いこと
私は混乱の中に閉じ込められて
そこから脱出するための
ドアを探してもがいていた気がする

どうしてあんな夢を見たのだろう
バス停にいた人たちを思い出してみる
みんな見覚えのない顔
聞き覚えのない声
まるで私なんかそこに存在しないみたいに
振る舞っていた
そもそも私はバスに乗って
どこに行こうとしていたのだろう

そうだ8月の初旬、
私は辻原登氏の”冬の旅”という
長編小説を読んでいた。
ボタンの掛け違えで主人公の人生が
どんどん悪い方に展開していく物語だった。
読んでいるうちは先の展開が気になって
ズンズン頁を捲りたった2日で読み終えた。
物語は刑期を終えた主人公(男)が
刑務所を出所してひとり寂しく
バスに乗るところから始まる。
その暗く重たいシーンが頭のどこかに
張り付いていたのかも知れない。
とても惹き込まれる小説だったけど
寒さに震えるような心境で読み進み
最後に濡れたコートを羽織らされたような
読後感だった。

私の寂しく嫌な夢はたぶんそのせいだ。
けして小説が悪いわけじゃないです。
そういうジメジメしたシーンが
くっきりと印象に残ってしまうのは
どういうわけなんだろうって思うだけです。
私にこの手の小説は向かないのかも知れない。
週末は図書館にもっと愛に溢れた美しい本を
見つけに行かなくちゃなりません(笑)。
だけど美しい本を読んでも
美しい夢って・・・なかなか見れないんですよ。
フレディ、きみはどんな夢を見るんだい?

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