すっきり。

どうしていいかわかからず、
相談にのってもらおうと思った時、
悩みを自分のこととして受け止めてくれる。
そんな友だちがいることのありがたさ。
打ち明けたり相談したい時って
一般論が聞きたいわけじゃない。
まして悩みをシャーレに乗せて
怪しい液体を滴らされたり、
ピンセットで突かれたりして
分析して欲しいなんて思わない。
ピッチャーが投げるボールを
受け止めてくれるキャッチャーみたいに
ぼくがしゃべることをただ最後まで
黙って聞き続けてくれる。
もしかしたらぼくはそれだけを
望んでいたのかも知れない。
「どう、話して少しは楽になった？」
そう言いながら友だちは山なりの軌道で
胸の高さにボールを投げ返してくれた。
もうそれだけでじゅうぶんだった。
本当にそれだけでよかった。
ぼくのグラブに収まったボールは
ずっと持ち続けていたボールじゃない。
行って返ってきたボールなのだ。