走れ〜!

「ロバート、あそこ、見て」
「あっ、飛行機雲だね。
なんだか久しぶりに見た気がするよ」
「あたしもよ。真っ青なお空に真っ直ぐな白い線。
あれが道だったら走ってみたいと思わない?」
「思わない、思わない!
ぼく、高いところ、ほら、あれだから。
・・・・・でもジュリアと一緒だったら
勇気を振り絞れるかも知れない」
「じゃあ勇気を振り絞って、さぁ行くわよ」
「えっ?」
「いい?あたしが、さん、はい!って言ったら
お空に向かって思いっきりジャンプして」
「あぁ、なんだ。想像の世界だね。いいよ」
「さん、はい!!!」

「えっ?えっ?えっ?
ホントに乗っかっちゃってるの?ぼくたち」
「どお?思ったほど怖くないでしょ?」
「ぅわっ!ぅわっ!ぅわっ!ぅわっ!
ヒョエ〜!風強っ!寒っ!高っ!
だけど怖〜〜〜くない!怖くなんかないぞ!」
「ロバート、下を見ちゃダメよ!
手をつないでいれば大丈夫だから。
飛行機雲の道ってけっこう幅があるから
ちょっとやそっとでは落ちたりしないわ。
それにあたしと一緒なら安心でしょ?」
「うん。ジュ、ジュ、ジュリアは怖くないの?」
「少し怖いけど、怖さよりこの解放感の勝ちね。
さぁロバート、走ってみましょうよ」
「なんか、ぼく、腰が抜けちゃっているみたい。
足が動かないんだ。どーしよー!」
「ロバート、前を見て!一所懸命に飛行機が
道を作ってくれているのが見える?」
「うん、見える!」
「それじゃ今度は後ろを見て!」
「うわ〜っ、だんだん道が消えていく〜!」
「このまま動かないでいたら地面に真っ逆さまよ。
さぁ、あたしと一緒に飛行機の後を追って
どこまでも走っていくのよ!」
タッ!タッ!タッ!タッ!
ハッ!ハッ!ハッ!ハッ!
タッ!タッ!タッ!タッ!
ハッ!ハッ!ハッ!ハッ!
「ロ、ロ、ロバート!そんなに速く走ったら
あたし、追いつけないわ。腕がちぎれそうよ」
「ジュリア、ぼくの背中に乗って。さぁ!」
「まぁ、なんて素敵な提案なのかしら。
それじゃお言葉に甘えて」
「しっかりしがみついているんだよ!」
「ぅわー!競走馬に乗ってるみたい!
あっ、大変!後ろの道がどんどん消えていく。
キャ〜〜〜!走れ〜!もっと速く〜っ!」
タッ!タッ!タッ!タッ!
ハッ!ハッ!ハッ!ハッ!
「わっ、はっ、はっ!
想像の世界で遊んでいるだけのに
なんて楽しいのかしら。
今日はいつにも増してノリがいいわね、ロバート」
「なにを言うんだジュリア、
乗ってるのはキミの方じゃないか!」

※本当は飛行機雲って”過去”に似ているって思って
書き出したんですが、道を大きく外れてしまいました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

gooblog

次の記事

昨日書けなかったこと。