笑顔会議。
無理して笑顔を作る必要はない、
と、もうひとりの自分が
不貞腐れた顔で言う。
無理して作った笑顔は疲れるだけだと。
凹んでいる時こそ笑顔だよと、
またべつの自分が勇気づけるように言う。
そのうち本当の笑顔が生まれると。
無理して笑顔を作る必要はないけど
いつでも笑顔になれる準備はしておきたいと、
さらにべつの自分が説得力のある声で言う。
タイミングよく出る笑顔は素敵だと。
ご主人様、笑顔ってなんすか?
と、フレディがきょとんと首を傾げる。
あっしは人間たちがやるような
そんな顔はできません。
できなくちゃまずいんでしょうか?
そんなことはないよ。
だけどときどき
あっ、いま笑ったね、っていうふうに
見えることがあるよ。
あっしがですか?
うん。
マジっすか?
うん。
自分じゃわからないっす。
わからないってことは
自然に出た笑顔だからじゃない?
あっしがその笑顔ってやつになったとき、
ご主人様はどうされました?
きみと同じように笑顔になったよ。
へー!笑顔って乗り移るんでしょうか?
乗り移るんじゃなくて伝わるんだよ。
笑顔が伝わる・・・おもしろいっすね。
きみの場合は尾も黒いけどね。
ご主人様、それ、おもしろくないっす。
身体的特長を笑いのタネにするのは
いけないことだと思います。
わ、わ、わかったよ。私が悪かった。
だけど私は笑いのタネにしたわけじゃなく
きみの黒い尻尾、可愛くて大好きなんだよ。
あっしの?この尻尾が?
あっ、フレディ、いま嬉しい気持ちになったでしょ。
はい。どうしてそんなことがわかるんっすか?
尻尾が笑顔になってるもの。