消える雲。

新鮮な外の空気を吸おうと思って
 窓を開けてベランダに出る。
 空を見上げると瑠璃色の雲が
 朝日に照らされてゆっくり空を渡ってゆく。
 慌ただしく朝ご飯の支度を済ませて
 もう一度ベランダに出るてみると
 すっかり雲はなくなり
 気持ちのいい青空が広がっていた。
 ほんのひとときのことなのに
 空はその表情をがらりと変える。
 私はなんとなく青空というのは
 浮かんでいる雲が風に流されて
 広がってゆくものだと思っていましたが、
 もしそうだとしたら
 雲の移動がばかに早過ぎます。
 たぶん今朝の雲は移動したのではなく、
 青空の中に溶けてしまったのだと思います。
心にできた蟠(わだかま)り雲みたいなものも
 そんなふうに溶かせるものなのでしょうか。
 まさかね。
 自ら風を吹かせるしかないのかも知れない。
 だけど心に風を吹かせたら・・・
 蟠り雲と引き換えに寂しさがやってきたりして。
 ピュ〜。
 そういえば美しく澄んだ青空って
 心の状態によっては
 寂しさを感じる場合がありますよね。
 寂しさは空に吹き渡る風のせい?
 吹かせるなら春一番のような風がいい。
 もうすぐ、かな。


