未来を作る。

「どうジュリア、上手に描けた?」
「こんな感じよ」
「え〜っ、すご〜い!びっくりだよ!
だけどぼくってこんなにいい男だった?」
「ちょっと盛っちゃったかも」
「ホントはもっと冴えない感じ?」
「冗談よ!そんなことないわ。わたしの目には
ロバートが
こんなふうに見えるの。
ロバートはいつだっていい男よ」
「ジュリア・・・」
「なあに?」
「ぼく、その絵、欲しい!」
「いいわよ。でも他の人には見せないでね?」
「どうして?こんなによく描けているのに」
「・・・恥ずかしいもの。だいいちこれ
、広告チラシの裏に
描いたものよ。
特売セールの文字が透けて見えちゃってるわ。
ロバートへのプレゼントなら
もっとちゃんと描いてあげる」
「ホント?いつ?いつ?いつ?」
「そんなにわたしの絵が欲しい?」
「もちろん!」
「じゃあ、今度のお誕生日に。それでどう?」
「決まり!早く来ないかなぁ誕生日。
あっ、そうだ!じゃあぼくは
ジュリアの誕生日に詩をプレゼント。どう?」
「えっロバート、わたしのために
詩を書いてくれるの?」
「きっとジュリアの絵ほどうまくは
書けないと思うけど
ぼくはぼくなりに
ぼくらしく
書いてみるよ」
「きゃーっ!ステキ!ステキ!ステキ!」

「ねぇロバート、未来に楽しみの種を
蒔いておくって
とっても大切なことよね?」
「うん。いまが楽しいっていうのも大切だけど、
いまが楽しいのは
もしかしたら過去に楽しみの種を
蒔いてあったからかも知れないね」
「今日のこの素敵な時間は
いつ蒔いた種が開花したのかしら」
「ジュリアと巡り会ったあの日。そんな気がしない?」
「する〜っ!そんな気がするわ」
「ぼくたちは楽しみの種をいまも蒔いたばかりだよね?」
「ロバートに絵をプレゼントする種、
わたしがロバートから詩をプレゼントしてもらう種、ね?
わたし、きっと毎日欠かさず種にお水をあげると思う」
「たまに肥料もあげたりしてね」
「わたし。どこにどんな種を蒔いたか
わけらなくなっちゃうくらい
ロバートと一緒に
いっぱい種を
蒔いておきたいわ」
「相手にわからないようにこっそり蒔く種も必要だよね」
「ちょっとロバート!それってどういう意味の種なのよ」
「違うよジュリア。サ、サ、サプライズって意味の種だよ」
「あっ、そういう意味ね。イヤだわ、わたしったら。
ケンカの種かと思っちゃった。ごめんなさい」

・・・チュッ!

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