夢の中で。

誰と一緒なのかも分からないし
どんな事情なのかも分からないのだけれど
私はその誰かを助手席に乗せて
アメリカの穀倉地帯みたいなところを
運転している。
どうやら警察に追われているみたい。
乗っているポンコツのダッチバイパーは
燃料が底を尽きかけていて、
やがて道路は緩やかな登り坂になった。
登り切れるかどうか心中穏やかでない。
カーオーディオからは和田アキ子の
コーラスガールが流れている。
助手席の誰かはそのメロディに合わせて
のんびり口笛なんか吹いているのだ。
パトカーが迫っているというのに
よくそんな呑気な気分でいられるな。
私はイライラしながらときどき
燃料計とルームミラーを交互に見る。
エンジンの吹けが悪くなってきた。
スピードもかなり落ちてきた。
もう少しで坂を登り切れるというのに、
パトカーの赤い点滅がズンズン迫る。
ヤバいなぁ、どうしよう。
私はひどく困惑しながら
何気なく助手席の誰かを見る。
和田アキ子・・・えっ、ウソだろ?
助手席に座っているのは
和田アキ子さん本人だったんだ。
そこでシチュエーションが変わった。
私と和田アキ子さんはなぜか大きな劇場の
観客席に隣同士で座っている。
観客席はすべて埋まっているようだ。
私はパトカーの追尾を逃れられたことに
ホッとして和田さんにお礼を言おうと
するのだけれど口が思うように動かず
ただただモゴモゴするだけ。
和田さんはそんな私をやさしい目で見た後
私の肩をかなり荒々しく叩いた。
痛い。悪気がないことは分かっている。
でもやっぱり痛い。私は我慢して笑う。
それから和田さんは舞台の方を向き、
呼吸を整えてから歌い出した。
たぶんその歌はコーラスガール
たぶんと書いたのは夢の中で
歌詞をうまく聴き取れなかったから。
でも和田さんがすぐ隣で私のために
歌っている、そのことに私は感動した。
いつまでも聴いていたい。
そう思っていたらいきなり会場内に
非常ベルが鳴り響いた。

やれやれ、朝が来ちゃった。
私はスマホのアラームを止めて
YouTubeコーラスガールを探す。
再生する。そう、これこれ!
この曲を聴いたんだった、すぐ隣で。
なんだかいい夢だった。
パトカーに追われていなければ
もっといい夢だったと思う。

写真は一昨日の横浜の桜の木。
今日明日は天気がぐずつき寒いみたい。
でも日曜日は回復して暖かくなる。
桜が楽しみですね。

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