いつの日か。

パラパラと雨が降るなか、
広場でお父さんがノックをしている。
その高く打ち上がったボールを必死に追う男の子。
男の子は小学校に上がったばかりくらいに見える。
まだ上手く距離感覚がつかめず
何度も後逸しては走ってボールを拾いに行く。
あるいはなんとか追いついても
ポトリと落としてしまう。
その度にお父さんは頭を抱えたり
檄を飛ばしたり笑ったりと忙しい。
男の子は分からないなりにも
お父さんの言葉に耳を傾ける。
「よーし、もう一度試してみるぞ」
そう言いながら空に舞い上がったボールを・・・
やっぱり後逸してしまった。
それでもお父さんはノックをやめず、
男の子も負けじと姿勢を低くして構える。
いつの日か男の子は素早い動きで
ボールに追いつきグラブに収めるに違いない。
がんばれ!そう思ってぼくがその場を後にすると
背後から
なにやら小さな歓声が追いかけてきた。
たぶんボールを捕まえたのだろう。
男の子とお父さんの驚きと喜びの顔が
見えるような気がした。

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